子宮筋腫
多くの女性がかかる病気⁈知っておきたい症状と治療
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どんな病気?
多くの女性がかかる病気です
子宮の筋肉の一部に、硬いコブのような腫瘍ができる病気です。ほとんどは良性の腫瘍ですが、まれに肉腫などの悪性の変化を伴う場合があります。
子宮筋腫は良性の腫瘍ですから、それ自体が生命を脅かすものではありません。実際に自覚症状がなく、子宮筋腫に気づかずに過ごしている人も多く、40歳以上の女性では、4人に1人が筋腫をもっているといわれています。それほど、多くの人がかかる病気でありながら、原因ははっきりとは分かっていません。
子宮筋腫のタイプ
大きさは米粒ほどのものから、人の頭ほどになるものまでさまざまです。筋腫は女性ホルモンのエストロゲンの影響で大きくなり、閉経後は小さくなる傾向があります。
複数できることが多く、数や大きさはさまざまですが、できた場所によって「筋層内筋腫」「漿膜下筋腫」「粘膜下筋腫」の3つに分けられています。これらの子宮筋腫が2つ以上同時に発生しているものを、「多発性筋腫」といいます。また、これ以外に、子宮頸部にできる「頸部筋腫」と、大きくなった筋腫が重みで子宮の外へ伸び出ている状態の「筋腫分娩」なども筋腫の一種です。
筋層内筋腫
子宮の筋肉の中にできる筋腫です。筋腫のうち約70%を占め、小さいうちは症状が出ませんが、気付かないまま大きくなると内膜に影響を及ぼし、子宮の収縮を妨げ、過多月経を引き起こします。
漿膜下筋腫
子宮の表面を覆う漿膜の下にできる筋腫です。子宮の外側に向かって大きくなっていくため、突き出すようにコブができるが、かなり大きくなるまで病状が出ないので気が付きにくいのが特徴です。
粘膜下筋腫
子宮内膜のすぐ下にできる筋腫です。一番少ないタイプですが、子宮の内側に向かって大きくなるため、小さくても経血量が多くなるなど、症状が出やすい筋腫です。
頸部筋腫
子宮頸部に近いところにできる筋腫です。ここに筋腫ができる確率は少ないが、尿路を閉塞したり、膣内に脱出したりすることもあります。
有茎漿膜下筋腫
漿膜下筋腫に茎ができ、キノコ状になったものです。茎がねじれて「茎捻転」を起こすことがあり、腹痛を伴います。
有茎漿膜下筋腫の筋腫分娩
粘膜下筋腫に茎ができ、子宮口に向かって下がり、子宮の中から押し出されて分娩のような形になり(筋腫分娩)、陣痛のような痛みがおこります。月経の際に大量の出血を起こします。
症状について
できる場所や大きさによって症状はさまざま
筋腫の場所や数、大きさによって症状は人それぞれですが、代表的な症状は、生理量が多くなることと生理痛です。その他の症状としては、生理時以外の出血、腰痛、頻尿(トイレが近い)、便秘などがあります。また、筋腫の場所によっては、不妊の原因になることもあります。
- 月経過多、たちくらみ、めまいなどの貧血症状
- 月経困難症(月経痛・腰痛・吐き気など)
- 下腹部のしこり
- 圧迫による頻尿・便秘・腰痛など
- 下腹部の激痛
- おりもの増加
- 不妊
治療法
子宮筋腫は生死に関わる病気ではないことから、治療は、大きさや症状、今後の妊娠・出産の予定などを考え、その人にあった治療法を選択します。治療法は大きく分けて、治療を行わず経過をみていく「経過観察」、薬を使って治療する「薬物療法」、手術で筋腫を取り除く「手術療法」の3つの方法が考えられます。
経過観察
筋腫があってもそれほど大きくなく、症状も軽く、日常生活に支障がなければ、定期的に検診を行う経過観察を選択します。
- 筋腫が握りこぶし大以下の大きさのとき
- 妊娠していて、筋腫が妊娠に影響しないとき
- 出血や痛み、その他の不快な症状が軽く、貧血もないとき
- ほかの臓器に影響がないとき
- 年齢的に閉経まで持ち込めそうなとき
- 他の病気の合併症があるとき
薬物療法
筋腫そのものは治療せずに症状のみを改善する「対症療法」と、筋腫を大きくするといわれるエストロゲンの分泌を抑えるホルモン剤で、筋腫の成長を止める「ホルモン療法」の2種類があります。
対症療法
主に、低用量ピルを使用します。筋腫が大きくなるスピードを遅くすることに加え、生理痛や貧血などの症状も楽になります。また、更年期のような症状が出る心配もありません。低用量ピル以外にも、痛みを抑える鎮痛薬や漢方を使用する場合もあります。
ホルモン療法
ホルモン剤により女性ホルモンの分泌を抑え、体を一時的に閉経状態にする治療です。生理が止まり、筋腫が小さくなる、貧血が改善するという効果が見込めます。ただし、更年期のような症状が出たり、骨粗しょう症のリスクも高くなるなど、体への負担が大きいため、6ヶ月以上は続けられません。
- 手術の前準備として、筋腫を小さくし、貧血を改善したいとき
- 閉経が近く、それまでの間だけ症状を抑えたいとき
手術療法
筋腫がとても大きい場合などに行う治療です。手術には、筋腫部分だけを取り除く「筋腫核出手術」と、子宮を全部取り除く「子宮全摘手術」があります。手術療法は、以下のような場合に選択を考えます。
- 握りこぶし以上に大きな筋腫があるとき
- 生理痛、貧血がひどく、薬物療法では改善しないとき
- 筋腫が不妊・流産・早産の原因と考えられるとき
筋腫核出手術
将来、妊娠・出産を望んでいる場合は、子宮を残す筋腫核出手術を行います。子宮を残すため、術後に再発する恐れがあります。
子宮全摘手術
これから妊娠・出産を希望しない場合や、多発性でひとつひとつの筋腫を取り除くことが困難な場合は、子宮全摘手術を行います。子宮を取り除くため、再発の心配がなく、子宮がんにかかる心配も無くなります。
子宮筋腫を上手にコントロールするためには、3〜6ヶ月ごとに検診を受けることが大切になってきます。筋腫の大きさや症状の強さなどを定期的な検診によってしっかり把握するように努めましょう。